GenoCon 2010 最優秀デザイン賞, 最優秀アイデア賞(望月氏)

2012年9月29日に理研横浜研究所 一般公開が開催され、理研生命情報基盤研究部門 豊田哲郎部門長より、望月正弘氏にGenoCon2010 最優秀デザイン賞が授与されました。
第1回 国際合理的ゲノム設計コンテスト 総評

“実験で計測した成長スコアに基づいて、最優秀デザイン賞(望月氏)を決定しました。望月氏は気孔の数を増やすという斬新なアイデアとレポートの質の高さから、書類審査において審査員から最も高く評価され、また、実験審査でも最も良い成績を示しました。

また、限られた長さのDNA配列の中に気孔を増やす遺伝子を組み込むアイデアを盛り込んだ点で、望月氏の発想は面白く、最優秀アイデア賞も望月氏に決定しました。このアイデアはHCHOの吸収速度を高めても、耐性を強める方向には作用しないので、今回の実験方法では十分に評価できておらず、本当の評価はHCHOガスの吸収速度をはかることによっておこなわなければなりません。望月氏の形質転換体は0.75mMで良い成績を示しており、実際はこの濃度以下の環境下で用いるので実用的には問題はなく、実際の吸収速度がどれくらい大きくなっているかを今後調べるとよいと思われます。”

(GenoCon質問1)どのようにして課題解決の糸口をみつけられましたか?

(望月氏) 私のデザインでは主に2つのアプローチで効率的にホルムアルデヒトを無毒化することを目指しました。 一つは、ホルムアルデヒドを炭素源として取り込むため回路を植物に組み込むというものです。このアプローチは先行研究を参考にしたものですが、私はこの回路に必要な2つの遺伝子を融合し、コンパクトな1つの遺伝子によって、これを実現するというアレンジを加えました。GenoConの実験審査によって、このアプローチの有効性が示されたと考えています。 もう一つは気孔を増やす働きのある遺伝子を組み込んで、空気中からホルムアルデヒドを取り込みやすくするというアプローチです。これに関しては、GenoConの実験審査ではその有効性を証明することはできませんでしたが、植物体の構造の変化によって無毒化の効率向上を目指すという新たな観点を提案することができたと感じています。

質問2)受賞されたご感想をお聞かせください。

(望月氏) 私のアイデアやデザインの妥当性が専門家の視点から客観的に評価されたことを嬉しく感じました。

(GenoCon質問3)今後どのように科学への貢献をお考えですか?

(望月氏) 私は職業的科学者ではないので、研究機関の設備や機材を使って実験を行うことはできません。さらに、遺伝子組換えに関しては、安全性と法律の観点から個人で実験を行うのは非常に困難だという事情があります。その意味では、組換え実験を研究機関に任せて、コンピュータ上でのデザインのみで競うことができるGenoConは、私のようなアマチュア科学者が分子生物学に関わることができる非常に貴重な機会と言えます。 ですから、今後もGenoConを通して分子生物学・合成生物学に関わりを持ち続けたいと考えています。また、私がGenoConに提出し、現在は公開されているアイデアやプログラムが今後のGenoCon参加者を含む第三者に利用され役立てられることを期待しています。

(GenoCon質問4)GenoCon2へエントリーをする方へメッセージをお願いします。

(望月氏) GenoConは過去に例を見ない取り組みであるだけに難しく感じている方もいるかもしれません。そういう方には先行研究の模倣やサンプルプログラムの改良から始めることをお勧めします。自然界での進化が小さな変異の積み重ねで起きるように、うまく機能することが分かっているサンプルを少しずつ改良していくことがイノベーションへの近道です。私のGenoConのデザインもそのようにして試行錯誤の末にできあがったものです。

GenoCon2010の背景と望月正弘氏の結果を含む全ての審査結果については、こちらをご覧ください。
実験審査結果